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北海道はジンギスカン

ジンギスカンと言えば,道産子のやつがれは本場を自任します。
昭和30年代の頃,どこの農家でも羊を飼っていました。そして「ハンゲ」の日に羊をつぶしてジンギスカンとして食べていたのです。

 

「ハンゲ」とは,大人になって知ったのですが「半夏生」のことで7月の頭頃です。この日は農作業をすることが戒められおり,働き改革なんてない時代,農家が大手を振って休める日でした。

 

父は,羊を屠ることを屠殺とか殺すとか言わずに「つぶす」と言っていました。家畜への畏敬の念を感じます。

 

一頭をつぶすと,とても一家では食べきれません。冷蔵庫もない時代です。そこで隣近所4-5軒でグループを組み,持ち回りで順に羊をつぶしていきました。こうすると毎年自分の羊をつぶすこともなく,合理的なものでした。

 

明日ジンギスカンがあるというと,朝からタレ作りが始まります。巨大なボールにリンゴや生姜など沢山の薬味をすりおろし,醤油,酒,その他訳が分からない食材が沢山放り込まれます。

 

塩分たっぷりのこのタレに,肉は漬け込まれます。これは生肉をすこしでも日持ちするようにという知恵だと思います。夏でも2-3日はもったことでしょう。ですからジンギスカンを食べた後は喉が渇くのです。

 

北海道のジンギスカンが「タレ漬け」なのはこうした歴史があるのです。後年大きなジンギスカン店ができると,そこではタレを「後付け」で食べるようになっていました。これは提供までに手間がかからないし無駄が出ないので,巨大店の必然だったのでしょう。

 

翌日はグループの人が大勢来て,地べたにテントを敷き,配列した3-4個の七輪を囲みます。長い長い宴会の始まりです。もちろん鍋はジンギスカン鍋です。

 

初期の頃の鍋には溝にスリットが入っており,「けぶたい」もんでした。煙でいぶしてタタキのような味付けをするためだったのだろうか。そのうち,スリットのない鍋に変わっていき,随分楽になりました。

 

このようにして食べていましたから,ジンギスカンと言えば羊を飼うところから始める,自給自足の食べ物という思いです。