「鬼はー外,鬼の目ん玉つぶれろー」「福はーうち」。
一升枡に手を突っ込んで握った豆を,こわごわ奥の暗い部屋に向かって叩きつける小さいれいほう。
翌日,母と姉は床の間や布団に挟まった豆に往生しました。
そして翌年豆は,大豆から落花生に変わりました。
掃除がしやすいことであろうことは,すぐ理解できました。歴史の浅い道産子は,古事来歴より実利が優先するんです。
がーしかーし,天気占いはどうするんだ・・・と,ここでれいほうの記憶は終わっています。
豆まきを終えると,目をつぶって撒かれた豆を年の数だけ拾います。その中から12個の豆をストーブの上に乗っけます。
そしてその焦げ具合を見て今年一年の天気を占う。
「一月は黒焦げだから大雪だ」「でも7月から9月は,キツネ色に焦げてるのでいい天気」「父ちゃん,今年は豊作だぞな」と大真面目に占卜するのです・・・これができないじゃないかい,という訳です。
さて昨夜の我が家。落花生を撒く孫の頭上から,袋に入った甘納豆やチョコを撒いてやります。喜ぶこと。
こうして道産子は大人になると「北海道の豆まきは,落花生にチョコだぜ」って言うのです。